新潟県立がんセンター新潟病院 [新潟県]
県立がんセンター新潟病院は、昭和36年1月、がんの診断と治療及び研究の総合センターとして発足しました。現在、病院の機能面では日本医療機能評価機構の変更(Ver.6.0)が認定されており、また都道府県がん診療連携拠点病院にも指定されております。当院では2009年よりOSNA法を段階的に導入し、慎重な評価を繰り返した結果、最終病理診断と同レベルの判定が術中迅速の段階で可能であるという結論に達し、現在ではSLN生検のすべてにおいてOSNA法を実施しています。
OSNA導入に至った経緯
従来当院では、図1に示す方法でSLNの術中迅速病理診断を実施してきました。
■図1 センチネルリンパ節の術中病理検索法
- リンパ節を2mm間隔の多分割切片とする
- ニトロセルロース膜に載せ表面活性剤加OCT compound
にて包埋して、迅速凍結組織標本を3枚以上作成 - 複数の病理医で鏡検して転移を判定し、術中報告
- 迅速の残組織をホルマリン固定パラフィン包埋永久組織
標本として再度評価 - 迅速診・永久組織診とも転移(-)
症例にはCK19の免疫染色を追加検索
2000年からの術前未治療当院乳癌手術材料900例のSLN生検病理最終結果では、当院のSLN病理検索では約3割に転移を認め、そのうち約1/3が微小転移であったと要約されます。術中迅速診断が免疫染色結果も含めた最終病理診断とどの程度一致していたかをみてみると、結果は表1の通りでした。
*()はIHCのみで判明
■表1 SN 転移陽性例の術中判定状況
| 術中検出 | 術中 未検出 |
術中 未検出率 |
|
| ITC31 | 14 | 17(7)* | 54.8% |
| ミクロ転移92 | 67 | 25(3) | 27.2% |
| マクロ転移168 | 165 | 3(1) | 1.8% |
| 計291 | 246 | 45(11) | 15.5% |
マクロ転移の術中見逃し例のうち2例は凍結切片の不良が原因で、免疫染色のみで発見された1例は小葉癌で永久標本でもHE染色では認識困難な例でした。従ってマクロ転移については術中迅速病理診断で十分対応可能と思われました。
一方、微小転移は92例中25例(27.2%)が術中には陰性と報告されていました。免疫染色ではじめて認識可能となる症例も少数ありま すが、多くは凍結切片では認識できず永久標本で認識可能となっており、凍結切片の質的問題によって転移の発見が困難であったと考えられました。
OSNA法運用の変遷とその評価
OSNA法の専用装置(RD-100i)を病理の切り出し室に設置、OSNA法と術中迅速診と併用、ついでOSNA法と永久組織診の併用、そしてOSNA法単独検索といった形で段階的に運用方式の切り替えを行い、慎重にOSNA法の評価を行いました。
まず、OSNAの導入初期は、SLNの中心2mm厚を凍結組織診に供して術中報告し、残りのリンパ節を使用したOSNA法は同日報告ながら、迅速非対応として時間的余裕がある状態で実施しました。この段階でのOSNA法と最終病理診断との一致率は、99.2%(症例単位)、98.5%(リンパ節単位)と良好な結果が得られました。(表2)
次に、リンパ節の中心1mm厚を切り出して捺印細胞診を採取後、凍結組織切片とせずそのまま永久組織切片作成にまわし、残りのリンパ節は全てOSNA法に供する方法を実施しました。この段階でも前回の方法とほぼ同等の一致率が得られました。(表3)
■表2 OSNA法(1)(リンパ節単位)
OSNA法 vs 最終病理診断(中心2mm)の一致率 95.8%
| Macro | Micro | ITC | 陰性 | 計 | |
| ++ | 11 | 4 | 0 | 1* | 16 |
| + | 2 | 2 | 1 | 1# | 6 |
| +i | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 |
| - | 1 | 3 | 3 | 135 | 142 |
| 計 | 14 | 10 | 4 | 137 | 165 |
*捺印細胞診陽性 #CK19mRNAコピー数540/μL
■表3 OSNA法(2)(リンパ節単位)
OSNA法 vs 最終病理診断(中心1mm)の一致率 94.7%
| Macro | Micro | ITC | 陰性 | 計 | |
| ++ | 14 | 6 | 1 | 0 | 21 |
| + | 3 | 2 | 0 | 7 | 12 |
| +i | 0 | 1 | 0 | 2 | 2 |
| - | 0 | 1* | 7 | 168 | 176 |
| 計 | 17 | 9 | 8 | 177 | 211 |
*OSNAはL判定 コピー数<250/μL
このように、自施設での段階的検討を経て、OSNA法によるSLN検索には免疫染色も含めた最終病理判定と同等の精度があること、従って迅速の段階では病理検索を凌駕する精度であることが確認できました。
当院におけるOSNA法の運用

病理の切り出し室に設置したRD-100i-
現在のSLN生検の主体はOSNA法に捺印細胞診を併用したもので、迅速凍結組織診は行っていません。病理に提出されたSLNを中心で二分し割面の捺印細胞診を採取の後、すべてをOSNA法検索としています。
OSNA法の結果報告の前であっても、細胞診で転移ありと十分に判定できる症例は捺印細胞診の結果によって腋窩郭清が追加されています。
また当院では、5名のオペレーター全員がシスメックス社のトレーニングを受講し、同レベルで操作を可能にした上で当番でOSNA法を実施しています。その結果、週3日、一日最大3件あるSLN生検を併用した乳癌手術に対応可能な安定した運用となっています。
OSNAのメリット
当院ではOSNA法の導入にあたり、段階的に慎重な評価を実施してきました。OSNA法には最終病理診断と同レベルの判定が術中迅速の段階で可能という大きな臨床的メリットがあると、現在は考えています。
従来の術中病理診断では一割面あるいは多分割面等の検索レベルによってSLN判定精度が異なり、施設間差も存在しています。リンパ節全体のCK19mRNAを定量的に評価するOSNA法を用いることにより、SLN転移の新たなエビデンスが得られるものと期待しています。
外科部門からのコメント

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当院の2009年の年間乳癌手術数は317例、そのうち243例(77%)が乳房温存療法です。2000年1月より、医療用放射性同位元素アイソトープ(2009年4月より色素の併用)によるセンチネルリンパ節生検を開始し、術中のリンパ節移転診断にはOSNA法を導入して精度の向上に努めています。OSNA法を導入して最もメリットを感じているのは、今までの凍結標本と比較した際の精度の向上です。ITCを目視できる病理医でも見逃しの不安は少なからず持っており、これを完全に払拭できることは大きなメリットであると考えています。
今後は、結果をnon-SLN郭清の判断材料とするなど、OSNA法のさらなる可能性に大いに期待しています。
施設の概要
- 新潟県立がんセンター新潟病院
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〒951-8566 新潟市中央区川岸町2丁目15番地3
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