コラム
Sysmex Theranostics Report

OSNATM*

OSNA法は、CK19 mRNAを検出することで乳癌におけるリンパ節転移の有無を判定する検査であり、国内外の実臨床において広く使われてきている。また最近では、乳癌のNAC適応症例や胃癌と大腸癌でも保険収載され、乳癌以外にも広がりつつある。

ACOSOG Z0011 Studyでは、SLN転移が1個あるいは2個あるとき、SLNの切除のみで終わった場合と腋窩リンパ節郭清(ALND)を行った場合において、予後に差はないということが報告されている。ただし、この条件は温存手術において放射線治療、Systemictherapy(全身療法)を実施するということが前提である。

SLN転移が1個又は2個の場合、3つの対応方法があると考えられる(図8)。一つはonservative wayで、予後因子としてnon-SLNにおける転移個数の情報を重要視するものである。例えば、65歳でER陽性/PR陽性/HER2陰性の患者でSLNに1個又は2個の転移が見つかり、追加郭清では転移が見つからなかった場合には、ホルモン療法単独、もしくはTC/ECを中心とした化学療法が実施されるであろう。しかし、もし同じ患者において追加郭清でさらに2個の転移が確認され計4個になった場合には、FEC-DOCやTAC等のAnthracycline-Taxaneを用いた化学療法が行われ、さらには、領域リンパ節への照射も実施する可能性が高い。もしこのように腋窩リンパ節へのトータルの転移の個数によって治療法を変えるのであれば、やはりnon-SLNの情報は必要と考えられる。

一方、Progressive wayではnon-SLNの情報がないため患者に応じた治療の適正化が出来ず、全員にAnthracycline-Taxaneを用いた化学療法を実行し、領域リンパ節への照射も行うことになる。つまり、同じ治療を全員に行うため、かなりの割合の患者に対してオーバートリートメントになる。

三つ目は、Personalized wayである。SLNに1個又は2個の転移があった場合、術中にnon-SLNの転移率を予測できれば、High-riskのときは郭清を実施し、Low-riskのときには郭清を行わなくて済むと考えられる。この方法により治療の個別化が可能になり、術中にその判断が出来るような予測モデルを作ることができれば非常に効率的である。こちらについては現在研究中である。

* OSNATM はシスメックス株式会社の登録商標です。

次世代の乳癌診療

近い将来、図9のような治療方針が可能になると予想される。まず、腫瘍をCore Needle Biopsy(CNB)やMMTで採取して、組織診、及びバイオマーカーの病理検査を実施すると同時に、腫瘍の一部をマイクロアレイ用にRNAlater溶液で保存し、アレイによる遺伝子発現解析を行う。これにより、予後予測や薬剤感受性予測、GN(I Genomic Nodal index、腋窩リンパ節転移予測モデル)などが計算可能となる。GNIを用いると、腋窩リンパ節転移の可能性が非常に低い症例を選ぶことができるため、そのような症例ではSLN生検は不要になると期待される。ある程度転移リスクが高い場合は、従来の部分切除とSLN生検を実施する。その後、OSNA法でSLNが転移陽性と判定された場合には、non-SLN予測モデル(NSLN-predictionmodel)を用いて転移の可能性が高ければ追加郭清をし、低ければ行わない。また、OSNA法でSLN転移陰性と判定された場合、ER陽性/PR陽性/HER2陰性の患者には95GCを適用する。もしHigh-riskなら化学療法とホルモン療法、Low-riskならホルモン療法のみを行えばよいと考えられる。このように分子診断が入ることにより、治療方針の流れは大きく変わるのではないかと期待される。

一方、図10のように、腫瘍径が大きい症例ではNACあるいは術前ホルモン療法が適用になると考えられるが、このような患者では、まずMMTもしくはCNBを行い腫瘍をホルマリン固定し、同時に、RNAlater溶液で保存したサンプルでマイクロアレイ解析を行う。N0/ER陽性/HER 2陰性のグループには95GCを適用し、Low-riskとHigh-riskに分類する。High-riskであればNACを行い、腫瘍を小さくしてから手術をするという流れになる。Low-riskと判定された症例は再発リスクが低いため、術前にホルモン療法を行い、手術後に腫瘍径やN、ER、Ki67で判定する「PEPI score」を用いて、予後を予測する。このとき、Low-riskであればそのままホルモン療法を継続し、High-riskであれば化学療法を追加するのが良いと思われる。

このように今後、分子診断を実臨床に取り込んでいくことで、個別化医療が推進されるのではないかと期待される。

演者
野口 眞三郎先生
大阪大学大学院医学系研究科
乳腺・内分泌外科 教授
司会
中村 清吾先生
昭和大学医学部乳腺外科
教授

質疑応答

  • 中村先生:新しい95GCという検査法にはOncotype Dxの21遺伝子群は入っているのでしょうか。
  • 野口先生:重複はありません。
  • 中村先生:サンプリングエラーを減らすための工夫として、今回はRNAlater 溶液に漬けて保存するとのことですが、他にどのようなことに注意をすればいいのでしょうか。
  • 野口先生:腫瘍の割面から、Punch biopsyの器具を用いて腫瘍組織を採取します。それをRNAlater溶液に漬けていただきますが、アッセイに際しては採取されたサンプル(腫瘍組織)の両端に癌細胞があることを病理学的に確認します。
  • 中村先生:node positiveに関しては今後どのようにお考えでしょうか。
  • 野口先生:node positiveでもLow-riskとHighriskで予後が分かれますが、Low-riskでも再発率がある程度高いので、ホルモン療法だけでよいというわけではありません。従って、現在node positiveに対する適用は考えておりません。
  • 中村先生:野口先生、どうもありがとうございました。
第51回日本がん治療学会学術集会(2013年10月25日) 学術セミナー20より抜粋
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